近年、歯の衛生管理は注目の的だ。厚労省などは、満80歳で20本以上の歯を残す「8020運動」を展開。いろいろな研究により、歯周病と心筋梗塞、糖尿病などとの関連も指摘されるようになった。
健康な人が虫歯や歯周病の治療を受けるのは当然だが、脳梗塞で口をうまく動かせない、あるいは、抗がん剤治療で口の中の粘膜に炎症があるなど、病気で治療を受けている人たちの口腔(こうくう)ケアも重要度を増している。
健康な人から病気の人まで、隣接する病院と連携しながら国内では珍しいトータル口腔ケアを実践しているのが、東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部。1日平均約1900人の外来患者と、年間延べ約1万9000人の入院患者だけでなく、同大医学部附属病院で治療中の人への「周術期口腔機能管理」も行っている。
「歯科衛生保健部は、歯科衛生士が主体となり、歯科医、医師、看護師と連携し、さまざまな取り組みを行っています。この体制は、東京医科歯科大学ならではです。技術の向上だけでなく、人材育成や連携しやすい環境作りなど、さらにより良い体制にしていきたいと思っています」
こう話す足達淑子部長(50)は、2009年に歯科衛生室から歯科衛生保健部へと、新たな体制でスタートする以前から、歯科衛生士の役割について、ステップアップさせるべく奮闘してきた。
単に歯科医の助手という立場から、歯科衛生士が主体となって口腔内の健康を守り、社会貢献できる道を模索している。結果として歯科衛生保健部は、32人のメンバーで、歯科と医科の患者をトータルでサポートするようになった。それには両病院のスタッフの理解が不可欠。(歯科衛生用口腔模型)
「一般的には、口腔ケアの大切さはわかるけれども、人手が足りない、収益に結び付かないなどの理由から、病院内に歯科衛生士を常勤させてのトータルケアは難しい。東京医科歯科大学では、その現状を変え、周術期口腔機能管理などを普及させる役割も担っています」(足達部長)
病気の人たちの口腔ケアは、それなりの経験と技術が不可欠。足達部長は、コンピューターシミュレーションを活用した歯科衛生士の教育システムの構築にも力を注ぐ。新たな教育システムは、歯科衛生士のモチベーションを上げ、社会での活躍の場を広げる後押しもする。
「一般の開業歯科医さんも、近所の病院と連携し、患者さんの口腔ケアが行えるようにしたい。歯科衛生士も、在宅医療に携わるなど、活躍の場はたくさんあります。5年後には、口腔衛生と歯科衛生士の役割を大きく変えたいと思っています」と足達部長。(携帯心電計)
長年の取り組みが今、大きく飛躍し始めている。
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