本レビューの結論として、術者の経験や適切な症例の選択などの条件付きで、即時負荷・早期負荷も十分成功すると記載されている。本レビューの対象となったRCTの中に、早期負荷による治療を行った結果、患者24名中6名において失敗したという高い失敗率を示すデータがあるが(従来型負荷では24名中1名で失敗)、この治療は経験の浅い同一の術者が行ったものであった。このRCTは2種類の製品を使用し、各製品ごとに従来型負荷と早期負荷を比較したものであり、早期負荷に関しては上記のように高い失敗率を示しているにも関わらず、インプラントの生存率では従来型負荷と比較して有意差が認められなかった。これは論文の著者が自分で指摘しているように、従来型負荷から24名中4名ものドロップアウトが出てしまったことが大きく影響している可能性がある(歯科ハンドピース)。
インプラントの上部構造には大きく分けて単冠・ブリッジ・義歯があり、正確にはさらに細かく分類することができるが、上部構造の種類に関しては本レビューでは考慮されていない。またインプラントの製品には非常に沢山の種類があるが、表面性状(HAなど)や長さなどに関しても考慮されていない。埋入後8日目から負荷をかけることと60日目から負荷をかけることを同じ「早期負荷」とするのが妥当なのかなど、気になる点は多々あるが、本レビューは、単純に、即時負荷・早期負荷・従来型負荷という分類に着目して多くの文献の中から良くデザインされたRCTを対象に行われたものである。
クラウンの研究などでは、対合歯の状態(義歯、天然歯、補綴装置の種類など)や支台歯のマージンの幅、歯冠長なども考慮されていることを考えると、本レビューは検討項目が大雑把過ぎる気がしないでもない(統計学的処理としては正しいのかも知れないが)。また、インプラント治療は現在は高い成功率を示すため、たとえ実際には負荷をかけるまでの期間の違いで成功率に差があるとしても、サンプル数が相当多くないと有意差の検出は難しいと思われる。
本研究から言えることは、十分な技術・経験を有する術者が、適切な症例に対して行うのであれば、即時負荷や早期負荷によるインプラント治療は十分成功する、ということである。しかし、何をもって十分な技術・経験とするかは指標が無く、適切な症例というのも本レビュ-では具体性に欠き、治療が成功したかどうかで後からわかる結果論であって、本レビューの結論は興味深くはあるが日常の臨床ではあまり参考にならないかも知れない。
ただ、本レビューの対象となったRCTの中に、経験の浅い術者がインプラントによる補綴を行った場合、その失敗率(上部構造の失敗を含む)は25%~42%、さらに高いものでは44%を示すものもあった。(エンド用コントラアングル)
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